空飛ぶかめ

小学校での実践について、あれこれ記録します。

必要なときは教えよう。

 今年の『学び合い』では単元内の内容によって、「ミニレッスン」を取り入れています。「ミニレッスン」とは、本格的な問題解決に入る前に設ける10分間ほどの一斉指導です。例えば、「分数のわり算」の単元後半から出てくる文章題の立式。私は立式をするための技として、4マスの関係図の使い方を教えることにしました。多くの子どもたちが「~は何kgですか。と聞かれたら㎏をわられる数にするんだよ」、「もとにする量という言葉を見つけたら、その数でわるんだよ」という教えられ方で立式をしています。ですが、この技は万能ではありません。業者テストでは通用するかもしれませんが、文章題が長さや聞かれ方によっては、立式はもちろん、「かけ算」なのか「わり算」なのか四則の見極めも難しくなってしまうからです。また、「なぜ、もとにする量でわることになるの?」という疑問も持てない形式的な学習を進めてしまう原因にもなってしまいます。そこで、汎用性のある4マス関係図を本単元では何度も繰り返すメインの「技能」として位置づけました。

 

 さて、『学び合い』の実践者の中では「先生は教えてはいけない」「極力、先生の時間を短くして、はいどうぞ!と委ねるのです」とおっしゃる方がいます。ですが、必ずしも毎回の授業がそうでなければいけないというわけではありません。『学び合い』では、学級の約2割の子どもたちが塾や通信教育を通して、授業内容をすでに習得しているという考え方があります。でも、4マス関係図は誰も知りません。では、その状態で「はい、どうぞ」という選択肢をとれるか。私ならとりません。知らない、見たこともないこにはちゃんと触れて、それから子どもたちに委ねたらいいと思っています。

 

実際の分数のわり算の流れはこんな感じでした。第6次より。

 

第6次 数直線を用いた除法の演算決定

語りとミニレッスン(10分)

テーマ「4マス関係図の使い方と立式」

学び合い(30分)

振り返り(5分)

 

第7次 分数の倍を求める

語りとミニレッスン(10分)「倍の数を求めるときの4マス関係図の使い方」

学び合い(25分)

ミニテスト(5分)

 

第8時 比較量を求める

語り(5分)

「もとめる量の確認」

学び合い(30分)

ミニテスト(5分)

振り返り

 

第9次 基準量を求める

語り(5分)

「もとめる量の確認」

学び合い(30分)
ミニテスト(5分)
振り返り

 

 誤解をしてほしくないのは、ミニレッスンは全員に知識を定着させる時間ではないということ。約10分間のミニレッスンで「全員がわかる」なんてありえません。ただ知らないこと、目にしたことがないものについては、足場かけが必要です。その足場かけで「なるほど!」となる子もいれば、「えっ、なんとなくわかった気が・・・」や「えー、わかんない」という子たちが出てくるのが自然です。ですから、何度も試行錯誤をしていく時間が必要になります。気づいている方もいらっしゃると思いますが、第6次から第9次にかけて、回を重ねるごとに「ミニレッスン」の時間は短くなっています。徐々に足場かけを減らし、子どもたちが自分たちのペースで繰り返し学ぶことができ時間を確保していくのです。