空飛ぶかめ

小学校での実践について、あれこれ記録します。

学校だからこそ

学校だからこそできること。


勝ち負けじゃない部分で楽しめる遊びをたくさん知ってほしい。ドッヂボールだけじゃなくて、昔遊びのような気がつけばみんな笑顔になる遊びがいいな。


そのためにはそんな遊びを知っている人と遊ぶ時間が必要だ。


心を揺さぶるステキな作品に出会ってほしい。それは物語や詩なんでもいい。「これ好きやねん」と言えるものを1つ。


そのためには、たくさんの作品との出会いが必要だ。


たくさんチャレンジして、失敗もする。でも前提にあるのは「分からないことは恥ずかしいことじゃなくて、新しい学びの始まりなんだ。失敗したっていい。またやり直せばいいんだ」という価値観。そう思えるようになってほしい。


そのためには、その価値観を伝える人と、それを浸透させていく時間と環境が必要だ。


仲良しだけじゃなく、自分とは離れた位置にいる人と関わる経験を積んでほしい。


いろんな人がいるから

得意なことも苦手なことも

好きなものも嫌いなものも

価値観も意見も

全てちがって当たり前。

それを前提に「らしさ」を発揮できること。


うまくいかないときに相談できる仲間の存在があり、それを受け止められる仲間であってほしい。


1人じゃないからこそ、困ったときに頼って、困っている人がいたら助ける。そんな経験をたくさん積んでほしい。


そのためには、


多様な人と関わり、自分と他者の違いを認め合うこと。自分と他者がちがう前提で力を合わせていく経験が必要だ。



ずっと昔。

社会がその機能を担ってくれていた。


今はちがう。教師が意図的に機会をつくり、その役目を担わなければいけないんだ。


たくさん書いちゃってまとまりがないけど、

自分の息子が通う教室はそんな場所であってほしいと思う。



複雑な気分

いろんな教室に入るたびに複雑な気持ちになります。


教師が変われば授業が変わる。授業が変われば、子どもたちが変わる。なんとなくこなしているだけの学校生活に、自分の成長なんて見えっこないのです。


「自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研修と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。」自分から研修と修養に励んでいる人ってどのくらいの割合でいるのだろう。





なんだかんだいって

『学び合い』の会を開くことで、いろんな先生方と繋がることができました。会をつくるまでは、『学び合い』を広めたい!と、使命感みたいなものを感じてましたが、今は違います。たくさんの妄想を持っています。きっとあっという間に過ぎていくであろうこの時間を、仲間たちとともに濃いものにしていきたい。


なんだかんだいって、僕のぶれない軸は『学び合い』です。「1人も見捨てたくない」その願いをもち、人とつながっていける大人が1人でも増えていってほしい。この想いは変わりません。「本流から外れている」など、揺れているような発信をしているように見えるかもしれません。その問答のたびに、『学び合い』を大切にしたいと気持ちが強くなっています。


僕の軸は変わりません。その軸を尖らせるよりも、糸を巻きつけて太くしていく。『学び合い』を広めるではなく、『学び合い』を拠点にいろんな人とつながっていきたい。それが、よりよい社会を描いていくための僕なりの方法です。


これからも、子どもたちを信じて任せることの可能性を発信し続けます。


『学び合い』の算数 第1時「比例反比例」


比例反比例の単元がスタート。導入は横の長さが4㎝、縦の長さが異なる3つの長方形で比例の関係をおさらいをし、その比例の関係を示した表から「新たなきまり」を見つけるという学習課題でした。授業記録を詳細に書くには時間が足りないので、導入序盤の主な発問と子どもたちの反応を書いておきます。


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T 今日から比例の学習だね。

    比例ってどんな意味だったかな?

C ペアトーク 

T この図形は何かな?

C 長方形

T  3つの長方形を貼る。

C  比例やん。

C  拡大図?

T  3つの長方形を見比べて、変わっていないものと変わっているものは何か見つけられるかな?

C  ペアトーク

C  縦の長さ。横の長さは変わってない。

C  大きさ

T  別の言葉では?

C  面積!

T  縦の長さと横の長さは比例している?

C  比例してない。横の長さ変わってないもん。

C ??

T  どっちだろうねぇ。さっき、比例している!って言った人いてたね。なんでそう思ったの?

C  面積と縦なら比例している。

T  縦と横の長さ、縦の長さと面積、横の長さと面積 この中で比例の関係にあるのはどれだろう?

C ペアトーク

C  縦の長さと面積!

T  比べるものによって、比例の関係にあるものとないものがあるんだね。


課題プリントを配り「学び合い」(15分)


課題 比例の関係から新たなきまりを見つけて、友達3人に伝えることができる。考えはノートにまとめること。


足場かけ 「関係は矢印を使うと見えてくる。」


比例の関係を見つけて、きまった数の意味まではおさえることができました。子どもたちの身近な世界で、一方の量が増えるともう一方の量も増えるものを考えると、「携帯の通話時間と料金」「腕立ての回数と筋肉量」「年齢と身長」「時速60kmの時間と道のり」などが出てきました。それらが比例か否かを話し合い授業は終わりました。


意識したこと

・比例の関係にあるものは何かに焦点をあてる。

・関係は2つ以上あってはじめて見えるもの。数字を矢印でつなぐと、きまりが見えてくることを足場かけのヒントとしてつたえました。

・ペアトーク、学び合いに入る前の語り

   価値のインストラクション

    必ず全員が話をすること。

    「わからない」でもOK

    男女の壁を越えること。

     説明上手を見つけること。



単元最初の授業は一斉授業と15分程度の学び合いで進めます。机間指導も行いながら、個々の理解度を把握し、明日から25分〜30分の『学び合い』の授業展開に活かしていきます。

離れたところから見つめてみる

僕は『学び合い』の本流から離れてきている。本流かそうじゃないかの議論はどうでもいいんです。でも、今の自分は『』を信じながら懐疑的に見ている。気がつけば偏った考え方になりそうだから。去年の考え方をアレンジしないと、目の前の子どもたちに合わないと感じているからです。


 2学期から、毎授業ごとに子どもたちが振り返りを書くようになりました。学んだことや難しかったこと、工夫したこと、人との関わり方、現在の学習状況など。加えて、いくつか質問コーナーを設けています。例えば「先生とのミニ授業を希望する」欄があり、そこにチェックが入った子に向けてミニレッスンを行っています。(形成的評価をもとに、技能の習熟が遅れている子も含めています。)つまり、協同的に学習を進める子達もいれば、私がリードして授業をする場もあるということです。こんな展開『』の本には書いていません。


図→立式の練習も一斉授業から、協同的な問題づくりをミニホワイトボードで行い、「4マス図大会」みたいなことをしたこともあります。これも『』の展開とは異なります。


そんな僕が『学び合い』の会を立ち上げたこと。本流から離れているからこそ、新しい見方・考え方を提案できる。そこを追求していきたいなと思っています。

今年のチャレンジ「研究コース」

単元を自由進度で学習できる環境を生かし、研究コースという発展的な学びの場を作りました。参加は希望制で、参加条件はプレテストで9割以上の点数をとることとなっています。クラスの2割の子たちが希望し、様々な研究テーマで個々のプロジェクトを進めています。写真は「4ますの関係図の使い方」に関する説明書です。(古田さんの実践に大きな影響を受けています。)


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流れは、下書き→友だち同士でチェック→修正→先生チェック→修正の繰り返しで清書を目指します。


さらに、他学年の苦手分野をサポートする説明書づくりもできるよう、子どもたちに提案してみます。6年生から子どもたちにアンケートをとるのも良いですよね。ニーズがあれば子どもたちの意欲もさらに高まるかも。必要性って大事です。今後が楽しみだぁ〜。



教室を彩るもの


「いいかぁ。今日はノートに書く量が多くなるで。頑張ってついてこいよ!」


これは励ましの言葉?勇気づけの言葉?

子どもの実態を無視した一方通行の言葉?

ゴールは書き写すことと教師についていくこと?


本当のところは分からない。


今年はいろんな教室に足を運ぶ機会が増えている。1つ1つの教室にそれぞれの色があって、それは担任の先生と子どもたちで彩られるもの。なんだかんだ言って、子どもたちの前に立つ教師が、授業を、学びを、学力を、大きくいえば学校をどんな風に捉えているかで、色は変わる。子どもたちが彩るものも変わる。


「頑張ってついてこいよ!」


何を目指して何を得るんだろう。







坂村真民さんの詩

「からっぽ」

頭を

からっぽにする

胃を

からっぽにする

心を

からっぽにする

そうすると

入ってくる

全てのものが

新鮮で

生き生きしている

坂村真民詩集」より

 

 

この前教えてもらった詩。

今の僕はこの詩が好き。

 

もう一つ。

 

渇き

渇くということは非常に大切なことである。渇かない人にいくらいい飲み物を与えても喜びも感謝もしない。愛でも学問でも同じで、渇かない者にいくら与えても無駄である。詩国も誰々さんに送ってくださいと切手を入れてお願いされている方がいるが、殆ど続いて読まれる人はいない。渇かないから胸に入ってこないのである。その点わたしなどいい時に生まれた。飢えも渇きも体験した。それが今も私に詩を作らせる根源になっている。お互いもっと渇き真剣になろう。

 

坂村真民一日一言より

 

一本の棒を磨き続けて尖ったものにするよりも、その棒に糸を巻きつけて太くしていきたい。前は前者だったけど、今は後者です。

 

坂村真民さんに出会えて良かった。

この出会いはきっと必然だ。

 

 

 

 

インストラクションの力

 『学び合い』の実践者には、シンプルな『学び合い』ではなく、一斉授業+『任せる』といった授業をする方もいる。それに至るにはいろんな事情がある。子どもたちや保護者から「先生に教えてほしい」と言われたり、学校の事情であったり。授業の形態としてはワークショップ型の流れになる。時間配分はミニレッスン:問題解決:振り返り=3:6:1ぐらいだろう。


さて、もし一斉授業をしてから『任せる』といった流れで進めたい場合、教師が使える時間は10分〜15分ぐらいになる。自分の感覚としては、それ以上になると長すぎる。さらに、その短い時間で何かしらの知識・技能を伝えたり、練習する時間を確保したりするのであれば、インストラクションの力が必要不可欠。どのように教材を提示し、何を問いかけ、子どもたちにどんな活動をさせるのか。発問は多すぎてはいけない。適度に揺さぶり、焦点化するような発問を。そして、それらの発問をどのタイミングでするのか。そんな働きかけを10分〜15分という短い時間でするのだから、かなり高いスキルが求められる。ただ解説するだけにしても、インストラクションのスキルがある方は、考え聞かせを交えたり、質面をしたりと対話的な展開にすることができる。


一斉授業はできなくても、『』は可能。最低限のスキルとして、話を聞かせることとメリハリをつけさせることができれば。といった投稿がFacebookにあったけど、これは半分賛成半分反対。


はっきり言えるのは、一斉授業(ミニレッスン)を短い時間でする場合、


「子どもたちに何を教えるのか」

「子どもたちの行動を引き出すために、どのような仕掛けを用意するのか」


この2つのスキルが欠かせない。そして、その土台となるのは教材研究であり、上手くなるためには練習が必要。それらをトレーニングする場つくれないかな。ミニレッスンのインストラクションを鍛える場。今度事務局で相談してみよう。