空飛ぶかめ

小学校での実践について、あれこれ記録します。

百人一首ワークショップ①

「ずっとこのワークショップをやりたかった」「とても楽しかった」
 作家の時間や読書家の時間以外のワークショップでこんな感想がでてきたのは初めてだった。2学期にチャレンジした社会科ワークショップでは、探究テーマを決められなかったり、何が大切な情報なのかを判断できなかったりと、ワークショップの学習過程で苦しむ子たちが多くいた。(気になったことをどんどん調べて、ワークショップを楽しんでいる子たちももちろんいた)時数が大幅に膨れ上がり、振り返りも十分にできなかった。そのため、よく言われる「活動あって学びなし」の状態になっていた子もいただろう。子どもたちはどのように考えていたのかな。学びを深めるというよりも、ただ自由に過ごす時間があるということだけがワークショップのメリットと感じていた子もいただろうなと思う。
 さて、今回の国語のワークショップは上に書いた社会科ワークショップの反省もあって、探究テーマを選びやすく、深め方も子どもたちにとってシンプルなものにすることにした。この単元の目標は2つ。1つ目は、言葉のひびきを大切にしながら、リズムよく短歌の音読や暗唱ができること。2つ目はボクのオリジナルだけど、自分のお気に入りの短歌を一首選び、その短歌の意味を説明したり、情景を想像したりできるようになることだ。二つ目の目標は教科書のワークシートにお気に入りの短歌を選ぼうという課題があったため、その内容を単元の目標に入れ込むことにした。
 
〇ワークショップのミニレッスン
 ワークショップ2日目のミニレッスン。短歌の暗唱だけに時間をかけてしまう子たちがいたため、短歌の探究の方法についてミニレッスンを行うことにした。ボクがこう学びなさいと指示しないように。子どもたちの声で学び方を思考・試行していくために、学習の手引きに載せた学習目標を達成するには、どのように学習ができるか子どもたちに聞いてみることにした。

「今回の単元の目標をもう一度確認するよー。1つ目は言葉のひびきを大切にしながら、リズムよく暗唱できること。これはみんなできてきているね。少し物足りないかなーと感じているのが、2つ目の目標のお気に入りの短歌を選んで、その短歌の意味を説明したり、情景を想像したりすること。ただ、短歌を暗唱するだけでは、その短歌の良さは分からないよね。どうやって学べば、作者の思いやその歌の情景が思い浮かぶかなー?となりの人と話し合ってー」

「短歌の4コマを見るのもいいよね」
「かなせんがスマホで見せくれた百人一首ノートで情景を確認する」
「分からない言葉の意味を調べる。錦の織物とか」
タブレットで調べてもいいかもー」
聞いてみると、案外いろんなアイデアがでた。

「そうそう。そういう感じで学ぶと、その短歌の情景が想像できるようになって、もっと深くその短歌のことを知ることができるよね。ただ意味を覚えようとするのではなくて、まずはその短歌の情景や言葉の意味を調べて、短歌の世界を想像できるようになろう。ワークショップの時間は、君たちの学び方次第でいくらでも面白くなるんだよー。目標を達成できるように、ただ読むだけじゃなくて、君たちが言ってくれたようないろいろな学び方にチャレンジしてみよう」

手前みそだけど、いい価値のインストラクションになったと思う。学習指導要領や指導書を参考にした学習目標を元に、どう学べよいかを考えるのは初めてだったんだけど、結構いろんなアイデアがでるものだ。ボクの懐だけでおさめるのではなく、手持ちの情報を全面的に開示して、「みんなはどう思う?何かアイデアある?」と聞いてみるって、学習者中心の授業をつくる上で大切だよな。授業づくりネットワークの井上太智さんの実践(中学理科)でも、学習指導要領の目標を元に、問いづくりをする導入が紹介されていた。その記録を見たときは、「こんな難しい実践できるわけないよ。かしこいからでしょ、子どもたちが」と感じていた自分がいたけど、どうもそうではないみたい。子どもたちに伝わる言葉で提示することはもちろんだけど、何より大切なのは、子どもたちと共に授業をつくろうとする教師の在り方なのかもしれない。「どう思う?」と聞いて、「特にないかなー」という返事が来るを恐れていたのかな。今はその返事も含めて、子どもたちの考えが知りたくて、自然と「どう思う?みんな」と聞けるようになった。