『学び合い』の課題づくり~学習指導要領の生かし方~
前回の記事では、『学び合い』の初期の課題づくりについての内容でした。
今回はその課題をつくるにあたっての、学習指導要領の生かし方について考えます。
単元は小学5年社会「わたしたちのくらしと国土」
学習指導要領「第5学年の目標及び内容」には次のような記述があります。
第5学年の内容
我が国の国土の様子と国民生活において、学習の問題を追及・解決する活動を通して、次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身につけること。
(ア)世界における我が国の国土の位置、国土の構成、領土の範囲などを大まかに理解すること。
イ 次のような思考力、判断力、表現力等を身に付けること。
(ア)世界の大陸と主な海洋、主な国の位置、海洋に囲まれ多数の島からなる国土の構成などに着目して、我が国の国土の様子を捉え、その特色を考え、表現すること。
ア(ア)=知識、技能 イ(ア)=思考、判断、表現という枠組みです。
イ(ア)の内容を表現するとは具体的にどのようなことなのか、ここを考えることで子どもたちに求める活動が見えてきそうですね。
学習指導要領ではこのように解説されています。
その(我が国の国土)特色を考え、表現するとは、例えば、我が国の国土の位置や形状、面積などの情報を総合して、我が国は北半球にあり、ユーラシア大陸の東方に位置していることや、大韓民国、中華人民共和国、ロシア連邦と隣り合っていること、太平洋や日本海、オホーツク海などに囲まれ、大小の島々が弧状に連なって構成されていることなど我が国の国土の特色を地図帳や地球儀を用いて説明することである。
つまり、ア(ア)日本が北半球にあること、ユーラシア大陸の東方に位置しているなどの知識を生かして、イ(イ)日本の特色を説明する。これが、我が国の国土の特色を考え、表現することの意味なのですね。
となると「よし、特色を考えさせたらいいんだな」という安易な考えから、「日本の特色を説明できる・特色を考えよう」という課題が生まれがち。これだと、子どもたちの中には「特色って何?」と思う子もいるでしょう。「特色というのはね・・・」と話し合うのも対話の一つですが、今回の課題で時間をかけるところではありません。次のような課題の内容が考えられるでしょう。
課題A
日本の特色を次の視点から、友だち3人以上に説明することができる。
・日本の位置について(世界の国々、海洋の名前、緯度・経度などを使って表現する)
・日本の形、面積、領土について
書き方:日本の特色は~つあります。1つ目は~です。2つ目は~です。
課題B
日本の位置を、次の言葉を使い、3つ以上の表現で説明できる。
(ユーラシア大陸、太平洋、周りの国「韓国、中華人民共和国、ロシア)
課題Aは比較的オープンで子どもたちの裁量次第で成果物も変わってくるでしょう。 課題BはAに比べて、クローズな焦点化された課題になっています。子ども達の実態によって変えていきたいところです。
気を付けたことは、以下3点です。
・特色の具体的な視点を示すこと。
・書き方を示すこと。(課題Aについては)
・クローズな書き方で課題を分かりやすくすること。
ここで意識したいのは単元の配当時数です。昨年は「書いてまとめる」といったアウトプットの課題に時間を取りすぎて、時数の調整に苦しんだことがあります。ここは学習指導要領でも言及されている「カリキュラム・マネジメント」の観点から、国語の書く時間と社会の内容をうまくかけあわせていくべきだと思います。これについては、この本がとても分かりやすいですよ。おすすめです。
子どもの書く力が飛躍的に伸びる! 学びのカリキュラム・マネジメント
- 作者: 坂内智之,高橋尚幸,古田直之
- 出版社/メーカー: 学事出版
- 発売日: 2016/08/04
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (3件) を見る
以上、学習指導要領から課題を作る流れを示してみました。ちなみに上記の課題はさっと作ったものなので、5年生の先生方はバンバン改良していってください。