卒業生の言葉
今日は運動会。学校を訪れた卒業生たちは、小6の時と違ってちょっと大人びた姿に変わっていました。その姿に嬉しさや寂しさを感じつつ、会話を楽しんでいると…
「先生、今年も『学び合い』やってるんやろ?」
「えっ?」
「今年の6年が、新しく来た先生の話や授業が面白いって言ってたよ。算数が楽しくなったってさ」
「そうなんや。どんなところが楽しいって言ってたん?」
「詳しくは聞いてないけど、ありのままでいれるんだってぇ〜。良かったね。かなせんはストレートにはっきりと本音を言ってくれるからいいんだって。かなせんといえば学び合いだもんね。がんばれ〜」
昨日いろいろあっての今日。なぜ、このタイミングでこんな質問をするんだ!と笑いそうになりましたが、未熟な私は「今年も『学び合い』をやってるんやろ?」と問われ、すぐに言葉を返すことができませんでした。
『学び合い』とは何だ?
しばらく『学び合い』を主語にして発信することはやめます。最新のブログ記事に対して多数のメッセージを頂きました。まとめると「僕の実践は『学び合い』とは言えない」とのことでした。
僕は子どもたちへの願いや信頼という言葉で、学びの責任を子どもたちに押しつけるようなことをしたくなかった。リフレクションの会で学んだことを実践しようしたまでです。物理的な環境整備が追いつかなければ、僕が環境そのものになることだってある。
今後も目の前の子どもたちによって「教える」という選択肢をとることはあるでしょう。思いっきり任せることもあるでしょう。子どもたちの声で授業の形が変わることもあるかもしれません。〇〇実践がどうこうで語るのではなく、「僕」と目の前にいる「子どもたち」で教室と授業をつくっていきます。
これまでは『学び合い』を主語にして発信することで『学び合い』には願いを具現化するいろんな形がある。「教えられない」じゃなくて、教えることがあってもいい。そう発信することで、実践の幅が広がると考えていました。でも本流でないなら『学び合い』を主語にしない方がいいと言われ、絶望感となぜか一定の納得感を得ました。
思い描く理想の社会はあるし、僕自身の願いもある。その願いがただの押し付けにならないように。繰り返しになりますが、授業は子どもたちと一緒につくっていきたい。主語は「僕」と「子どもたち」です。
必要なときは教えよう。
今年の『学び合い』では単元内の内容によって、「ミニレッスン」を取り入れています。「ミニレッスン」とは、本格的な問題解決に入る前に設ける10分間ほどの一斉指導です。例えば、「分数のわり算」の単元後半から出てくる文章題の立式。私は立式をするための技として、4マスの関係図の使い方を教えることにしました。多くの子どもたちが「~は何kgですか。と聞かれたら㎏をわられる数にするんだよ」、「もとにする量という言葉を見つけたら、その数でわるんだよ」という教えられ方で立式をしています。ですが、この技は万能ではありません。業者テストでは通用するかもしれませんが、文章題が長さや聞かれ方によっては、立式はもちろん、「かけ算」なのか「わり算」なのか四則の見極めも難しくなってしまうからです。また、「なぜ、もとにする量でわることになるの?」という疑問も持てない形式的な学習を進めてしまう原因にもなってしまいます。そこで、汎用性のある4マス関係図を本単元では何度も繰り返すメインの「技能」として位置づけました。
さて、『学び合い』の実践者の中では「先生は教えてはいけない」「極力、先生の時間を短くして、はいどうぞ!と委ねるのです」とおっしゃる方がいます。ですが、必ずしも毎回の授業がそうでなければいけないというわけではありません。『学び合い』では、学級の約2割の子どもたちが塾や通信教育を通して、授業内容をすでに習得しているという考え方があります。でも、4マス関係図は誰も知りません。では、その状態で「はい、どうぞ」という選択肢をとれるか。私ならとりません。知らない、見たこともないこにはちゃんと触れて、それから子どもたちに委ねたらいいと思っています。
実際の分数のわり算の流れはこんな感じでした。第6次より。
第6次 数直線を用いた除法の演算決定
語りとミニレッスン(10分)
テーマ「4マス関係図の使い方と立式」
学び合い(30分)
振り返り(5分)
第7次 分数の倍を求める
語りとミニレッスン(10分)「倍の数を求めるときの4マス関係図の使い方」
学び合い(25分)
ミニテスト(5分)
第8時 比較量を求める
語り(5分)
「もとめる量の確認」
学び合い(30分)
ミニテスト(5分)
振り返り
第9次 基準量を求める
語り(5分)
「もとめる量の確認」
学び合い(30分)
ミニテスト(5分)
振り返り
誤解をしてほしくないのは、ミニレッスンは全員に知識を定着させる時間ではないということ。約10分間のミニレッスンで「全員がわかる」なんてありえません。ただ知らないこと、目にしたことがないものについては、足場かけが必要です。その足場かけで「なるほど!」となる子もいれば、「えっ、なんとなくわかった気が・・・」や「えー、わかんない」という子たちが出てくるのが自然です。ですから、何度も試行錯誤をしていく時間が必要になります。気づいている方もいらっしゃると思いますが、第6次から第9次にかけて、回を重ねるごとに「ミニレッスン」の時間は短くなっています。徐々に足場かけを減らし、子どもたちが自分たちのペースで繰り返し学ぶことができ時間を確保していくのです。
ギアセカンド
『学び合い』が始まって1週間が経ち、子どもたちは自然と些細な相談をしながら学習を進めることができるようになってきました。
「ねぇねぇ、これってさぁ〜」や「あっ、ここ違うかも。どう?ここまであってる?」とか。
相談する相手はまだ固定的ですが、今はこれで良いかな。もっともっと伸びていけます。
けテぶれ学習もスタート!みんぷりは大好評でやんちゃ君が「俺がみんぷりNo. 1を取る」と宣言して大量に問題を作り始めました笑 4マス関係図も使いこなせるようになってきた。よしよし。
さて、そろそろギアを1段階あげる準備をしなければ。僕がそのままじゃ子どもたちは物足りなくなりますから。
テストの見方を変えよう!
今日から『学び合い』でミニテストが始まりました。問題数は2問で、内容は単元テストに類似したもので作ってます。
課題は「〜ができるようになる。➕ミニテストに全員合格」です。
テストの話をすると、こんなやり取りがありました。
「今日からミニテストをやりまーす」
「えー、怖い怖い」
「なんで?なんで?」
「だって1人でできるか不安やし、成績が…」
やはり、テストは「他者に評価されるもの」というイメージが強いのです。例えば、国語の時間に行われる漢字の小テスト。予告をするのは前日、勝負は1回きりというパターンが多く、学期末に好成績を納めたものには表彰状が送られる。
何が目的なのでしょう?
きっと定着させるためという観点は、上記ののような流れにはないでしょう。
子どもたちには次のように話しました。
「ミニテストでは成績は一切つけません。目的は自分1人の力でどこまでできるのか把握すること。自分は何ができて、何ができないのかをちゃんと分かろう。テストって成績をつけるためのものってイメージがあるけれど、先生はそれだけじゃないと思ってる。テストした後がとても大切なんだよ。だから前倒しでテストをやります。もし今日間違えたらラッキーだと思って。本場の前に自分の伸ばすポイントが分かるんだから。テストは繰り返し繰り返し同じ内容をやるよ。チャレンジしてみよう。ドキドキするけどね〜」
事前に問題を公開し、計画を立てさせ、テストを実施、振り返り、練習、また類似の問題を出す。定着するまで繰り返す。
「けテぶれ」学習スタートです。
『もどる学び』進行中!
今日『学び合い』で一番感動したのは、第1時の分数のわり算の計算の仕方を学び直す子たちが現れたこと。半分以上が分からないまま終わってしまった時間でした。
「先生、もっかいやっていい?俺面積図よりしんじんさんの説明の方が分かりやすいから、それでやってみる」
「えー、私も終わってないから一緒にやろや」
単元を自由に行き来できるからできることですよね。
『もどる学び』絶賛進行中です。
単元自由進度への種まき
今日の語りのテーマは学び方と時間の使い方でした。今回紹介した学び方はこの2つ。他にもありますけど、今日はこれだけ。
「もどる学び」と「進む学び」です。
もどる学び
前の時間で間違えたり、分かりにくかったところなどをもう一度学習する。
進む学び
次の内容に進む。つまり予習をする。
実際はというと、3クラス中1クラスで予習する子たちが6人。残り2クラスは問題プリントで繰り返し練習する子たちが多数でした。もちろん、「進む学び」と「もどる学び」はどちらを選択してもOK。これが単元自由進度の『学び合い』に早く移行したいと思うばかり、「先に進む」ことが目的となってしまうと大変です。子どもたちは無理やり「予習させられてる」状態になりますから。中々、予習にチャレンジしない子どもたちの姿に焦ってしまうんですよね。
ではどうするか。私は「進む学び」はなぜ良いのか、その価値を個人単位や集団単位で伝える必要があると考えています。今まで先生から「〇〇さんが先進んでやってます。せこいでーす」と言われた経験がある子もいますから。価値観の変化はそんな簡単にはいかないものです。
明日は2日間の課題プリントをまとめて渡す予定です。もちろん2日間かけてです。
3日間でいろいろなものが見えてきたので、明日語ることを整理しなおします。伝えたいことが溢れないように。私の場合、気をぬくと語りがヘニョヘニョになってしまうので。
伸び代を見逃さない
『学び合い』の語りは教師の人間性がそのまま現れる時間です。真剣さだけのときもあれば、ユーモアも交えてバカっぽく話すときも。毎日毎日ドキドキです。
以下、今日の語ったことです。
はじめに語ったこと
・「答えだけ写したらいい」と考えていた高校時代→結果カンニングでテスト5点。
・友達と仲間のちがい
・巻き込む勇気と入り込む勇気
・職員室で相談するとき
最後に語ったこと
・ヒントがあると分かれば動き出す積極性
・中途半端な説明に「分からない」と正直に 答えている誠実さ
・間違えたそのあとについて
たくさんある伸び代を見逃さず、価値付けしていく。去年より成長スピード早い気がする。子どもたちが違うから?6月からだから?なぜだろう。
考えすぎて、頭が割れそう!
今日から習熟度別算数で6年生3クラスでの『学び合い』がスタート。単元は分数のわり算です。今日の出来事だけでブログのテーマを3つ、4つ書けそうですが今回は簡単な感想にとどめておきます。
まず、最初の授業ということで今回は冒頭に「どんなことを大切に思って授業をしているのか、先生の考えを知って欲しいから5分間時間ください」と最初の語りをスタート。
話したことは以下4つです。
①学校にくる目的とは
②本当の分かるって何?
③本当に分かるために必要なこと
④先生の願い
同じ語りを三回連続でやらせて頂けることはそうそうありませんよね。その語りの中で、昨年担任を持っていた時と違う点は、『学び合い』と『1人も見捨てない』という言葉を使ってないことです。特に後者は言葉にすることに慎重になりたいと思います。そんな頻繁に発する言葉ではないというのが今の自分の考えだからです。
明日は3クラス中2クラスは同じ内容の語り。残る1クラスは少し視点を変えて語ります。
以下、子どもたちの言葉です。
「塾ではさ、逆数かけたらいいから。覚えて。はいどうぞ!って言われるんやけど、なんでそうなるかは分からんかったから、スッキリした!うれしい〜!」
「あと少し!(のどを指さして)ここまでは分かっていたんやけど、説明が難しかった。悔しい〜」
「こんな考える時間長い授業初めて…パンクしそう」
一方でこんな言葉も。
「塾みたいにささっと答え教えてや〜。考えるのだるい〜」
そして、多くの子たちが「図なんて使ったことがない。こんなに考えたことがない」と言っていました。
あー、そうか。なら「教えてあげた方がいい」かとなりますか?そのような経験をする機会を作ってあげようよとなりますか?
経験ってチャレンジして初めて生まれるもの。分かるってそんな簡単なことじゃないもの。でも力を合わせたら近づけるんです。
この記事いい風に書いているように見えますか?決して授業は完璧ではないですよ。僕だってまだまだ。反省点もりだくさん。でも軌道修正は確実にできます。
授業記録はhome pageに随時アップしたいと思います。またお知らせします!
ここまで。
明日から始動!!
木曜日から授業スタートの予定が、急遽明日からとなりました。もちろん『学び合い』でやります。
実は私、復帰して3日間で子どもたちの授業の様子を見させてもらい、そこから感じたことを課題づくりに生かそうと考えていたのです。ですが…
結論から言うと、3日間で分かることなんて知れていて。課題づくりにかなり頭を悩ませましたが、結局のところ超シンプルなものになりました。クラス担任であれば、それはそれで内容は変わっていたと思いますが、まぁとにかくシンプルです。
後は「やるなら、最高の結果を出そうぜ!」と夢を語る。
超真剣にね。